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【ひたちなか薬局 平野亜矢 先生 インタビュー】

2016/03/10

薬局から帰る患者さんの背中に
“安心”の文字が透けて見えるような応対がしたい!
~“あなたに会えてよかった”の一言がモチベーション~



平成14年に日製水戸病院(現在のひたちなか総合病院)の門前薬局として開局したひたちなか薬局 勝田店。ここで薬局長を務める管理薬剤師の平野亜矢先生は、今後薬剤師が“かかりつけ薬剤師”として活躍するためには「とにかく学ばなければならない」と強調する。その背景にあるのは、一人一人の患者にきちんと向き合いたいという強い思いだ。

ひたちなか薬局 平野亜矢先生 経歴


紹 介 ひたちなか薬業株式会社
http://www.hitachinaka-pca.com/index.html
ひたちなか薬局 勝田店
管理薬剤師 薬局長
平野 亜矢
認 定 ・日本薬剤師研修センター認定実務実習指導薬剤師
・医薬品ライフタイムマネジメント認定薬剤師

病院が提供する薬薬連携の仕組みを活用し、患者の状態を“能動的”に把握

 茨城県ひたちなか市で開院するひたちなか総合病院は地域の基幹病院で、ひたちなか薬局 勝田店はその門前薬局としての役割を担っている。 「現在薬剤師は私を含めて実働6名で、取り扱っている薬の種類は約1500~1600品目です。当局にいらっしゃる患者さんは急性期から慢性期の方まで様々で、ひたちなか総合病院の処方箋だけでなく、開業医など他の病院で受診してもその処方箋を必ずこちらに持ってきてくださる患者さんもいらっしゃいます。その意味では、2015年に厚生労働省が打ち出した『患者のための薬局ビジョン』で謳われている“かかりつけ薬局”としてのスタートラインには立つことができていると思っています」。

 またひたちなか総合病院は非常に開かれた病院で、この地域では薬薬連携が非常に進んでいるという。
 「ひたちなか総合病院は地域の医療品質向上を目的に、2014年9月に病院と院外処方箋を受け付けている薬局間をITネットワークで結び、患者さんから同意を得た上で、病院での採血結果や注射剤の内容などをインターネット上で閲覧できる仕組みを作りました。いわば電子薬歴で、今後病院は開業医も含めた地域の医療機関全てをネットワークで結ぶことを視野に入れています。私たちはこの仕組みを利用することで患者さんのリアルなデータを見ることができるようになり、薬の効果を確認することはもちろん、例えば副作用の出やすい薬を飲まれている患者さんに、その症状が出ていないどうかもチェックすることができます。今までは薬剤師に相談したい患者さんだけが、病院から紙でもらった検査値データを持ってきて下さっていたのですが、今では私たちが能動的に患者さんの状態を見に行くことができます。もちろんまだ自分のデータをネット上で閲覧されることに抵抗を感じる患者さんもいらっしゃるので、今は同意いただける患者さんを地道に増やしていっている状況ですが、既に同意いただいた患者さんからは“今まで病院の先生には遠慮して聞けなかったことも、自分の状況を分かってくれている薬局になら安心して相談することができる”とおっしゃっていただいており、かかりつけ薬局としての信頼感にも繋がっていると考えています」。

薬に関する引き出しを増やして、信頼されるかかりつけ薬局を目指していく

 取り扱う薬の種類が1500品目を超える同薬局では、薬剤選択時にきめ細かなチェックを行っている。
 「基本的に新薬もジェネリック医薬品も病院の採用に合わせていますが、ジェネリックについては、各製品にどんな特徴があるのかを見ています。例えばうちには小児科の患者さんもいらっしゃるので、錠剤の大きさなど飲みすい工夫がされているかどうか、また患者さんによって味の好みがあるので、サンプルをもらって味を確認するということもしています。あるいは一包化調剤なら、監査する際に識別のしやすい両面印字の錠剤を選ぶようにしています。特にメーカーを決めているわけではありませんが、多くの会社が同時に同じ薬を発売された時には、やはりMRの方がきちんと説明に来られたところを優先しますね。生身の人間同士、顔が見えたほうが色々な話を伺うことができるので」。
 その際に平野先生が重点的に聞いているのが、薬の特徴だという。
 「同じ効能の薬がたくさんあるものについては、それぞれ何を目的に商品開発したのかを聞いています。また新薬が病院で採用された時には、なるべく早く薬局で勉強会を開いてもらうようにしています」。
 MRに自ら働きかけることで必要最低限の情報は得ている平野先生だが、しかしMRには「もっと積極的に、薬に関連する様々な情報を届けて欲しい」と強調する。
 「例えば医師に提供している“大規模臨床試験の状況やエビデンスについても、薬の専門家である我々に迅速に教えていただきたいですね。患者さんには自分が飲んでいる薬がどんなものなのかを知る権利があります。でも患者さんの全てが薬について医師と直接意見を交わすことはありません。だから我々から安心材料をご提供して、“いい結果が出ている薬なのできちんと飲んでくださいね”ということをお伝えする必要がある。実は患者さんの何気ない一言がとても重要な情報だったりする場合がありますが、我々にたくさんの引き出しがなければ、そんな大事な情報も見逃してしまう恐れがあります。そんな事態を招かないためにも、また信頼されるかかりつけ薬局を目指していく上でも、私たちは薬に関する様々な情報を知りたい。それが引いてはMRの方のメリットにも繋がると思います」。

薬剤師は“かかりつけ薬剤師”として活躍するために学び続けなければならない

 薬剤師としての知識をさらに増やしていくために、平野先生は外部の講習会や勉強会にも積極的に参加している。
 「例えば私は、NPO法人の医薬品ライムタイムマネジメントセンターが開催している育薬セミナーを受講して、その認定薬剤師の第一号になることができました。育薬とは、東京大学大学院 薬学系研究科の澤田康文教授が提唱されている考え方で、薬が誕生した後に創薬の段階で見出せなかった新たな医薬的知見やトラブルなどを発見し、解決に至るまでのプロセスを指す言葉で、具体的にはその過程の中で得られた結果を医療現場や国民にフィードバックするという取り組みです。育薬セミナーはいわば現場の薬剤師を育てるための講座で、当時は仕事を少し早めに切り上げて常磐線に飛び乗り、東大で19時30分からのセミナーを受講して最終の特急で帰ってくるという生活をしていました。今は時間的な制約と体力の問題からオンデマンドでの受講に切り替えましたが、毎回目から鱗が落ちる講義内容でワクワクしながら帰途についていたことを覚えています。この資格を維持するためには講習会と勉強会に参加することが必須で、一度資格を取得したらそれで終わりではなく、常に知識をアップデートしていかなければ、薬剤師としての成長は望めないと思います。最近では製薬メーカーが提供するWebセミナーも見ていますが、先日骨粗しょう症のセミナーを閲覧して質問したら、その場で医師から回答をもらうことができました。これも私にとっては非常に有用なもので、自分にやる気さえあれば、色んなところに勉強する機会はあると思います」。
 さらに平野先生は、薬局自体の課題として“認定薬剤師の育成”を挙げる。
 「これから高齢化が進む中で、薬局にがんや糖尿病、あるいは認知症など様々な領域に専門の薬剤師がいれば、より多くの患者さんのお役に立てるかかりつけ薬局になることができます。認定薬剤師の育成は、これから先の社会を見据えた時に必須となる取り組みで、薬剤師の人たちも薬の専門家である自覚を強く持って仕事に臨み、日々研鑽を積んでいく必要があると思います。特に調剤薬局で働く若い薬剤師の方は、まずは病院薬剤師と同様にインタビューフォームをもっと活用するなどして自分の引き出しを増やしていって欲しいですね。やはり私たちは薬の専門家でなければなりません。今後かかりつけ薬剤師として活躍しなければならない私達は、とにかく学び続ける必要がある。薬局からお帰りになる患者さんの背中に“安心”の文字が透けて見えるような応対ができる自分になりたいですし、うちのスタッフにもそうなることを望んでいます」。

“あなたに会えてよかった”。患者さんのその一言がモチベーション

 かかりつけ薬剤師として活躍するためには、学び続ける必要があると断言する平野先生。そのかかりつけ薬剤師とは「患者さんに心を開いていただける薬剤師のこと」だ。
 「以前とても嬉しかったことがありました。服薬指導の際にいつもご家族と一緒にお見えになる高齢の患者さんがいらっしゃるのですが、病気が進行したために色んな記憶が曖昧になってしまい、本来1日に1回しか薬を飲まなくてもいいところを2回飲んでしまい、何が正しかったのかよく分からなくなってしまったのです。その時に患者さんだけでなくご家族もまた、すぐに私の顔が頭に浮かんだと言っていただきました。
 でも名前が分からなかったと。それを聞いて私はとても責任を感じました。いつも患者さんと接していたのに、自分の名前さえ、きちんとお伝えしていなかった。それは顔の見える薬剤師とは言えないのではないか。そこでそれまでは対外的に仕事をする私しか持っていなかった名刺を、うちの薬剤師全員分、作ったのです。
 かかりつけ薬剤師として患者さんと向き合うためには、1対1の関係を築くことが何よりも重要です。もちろん人対人なので、全ての薬剤師が全ての患者さんと相性がいいわけではありません。コミュニケーションの取り方にもそれぞれ個性があります。でもだからこそ、その中からかかりつけ薬剤師を見つけていただけるのだと思っています。私はスタッフ全員に“自分が信頼していただいていると感じられて、それに応えていきたいと思った患者さんには自分の名刺を渡してね”と伝えました。患者さんが心を開いてくださったなら、薬剤師はその信頼や期待に応えるための責任を持たなければなりません。それがかかりつけ薬剤師だと思います。当局では専用のブースを設けて、一人一人の患者さんとお話させていただく場も作っています」。
 また平野先生は薬局長として、スタッフが気兼ねなく休みを取ることができる雰囲気作りも心がけているという。
 「薬剤師は気の抜けない仕事だからこそ、プライベートの充実はとても大事なことだと思っています。自分にゆとりがあってこそ、患者さんに対して笑顔にもなれるし、親身になることもできる。私自身も有給休暇を取って、趣味だったり、友達とのランチだったりを楽しんでいます。自分の生活を大いに楽しみながら、薬の専門家としてしっかり自己研鑽も積む。どちらも同じくらい大切です。
 またうちのスタッフはほぼ女性で、皆が家事や育児、あるいは介護などと仕事を両立させていますが、産休や育休を経て職場に復帰してくれるスタッフが多いことも、本当に感謝しています」。
 そう熱く語る平野先生のモチベーションは、患者さんの“ありがとう”の一言だ。
 「“あなたに会えてよかった”。そう言っていただけるだけで十分です。その一言で自分のやってきたことが、きちんと患者さんに届いたんだと実感することができます。繰り返しになりますが、これからかかりつけ薬剤師の役割は本当に重要になってきます。我々は薬の専門家として日々、勉強し続けていくことが何よりも大切です」。

(取材日:2016年1月28日)